その他の屈折矯正手術の種類

 レーシックイントラレーシックの他に、エピレーシック、ラゼック、PRKという屈折矯正手術の種類があります。これらは前のページ「レーシックで重要なのは角膜の厚さ」で触れたように、角膜が薄いなどの理由でレーシックやイントラレーシックを受けられない人のための屈折矯正手術です。このページも大切なので非常にボリュームがあります。いつでも読み返せるように是非、お気に入りに追加してください。

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 術式は上で3種類あげましたが、一般的な概念は全て一緒です。これらは、フラップをレーシックより薄く形成(もしくは作らない)することにより、切除部分の角膜量をより多く残すことで手術可能になるのです。前のページをしっかり理解して頂けた方(※本当に重要なのでしっかりと読んでください)は、「なるほど。それなら目の悪い人も手術可能だな。」とお分かり頂けると思います。それでは以下の条件でイントラレーシックとエピレーシックで手術した場合はどうなるのか?角膜切除量の数式を使い、解説いたします。

条件:イントラレーシックとエピレーシックにおいて近視-9D、乱視-1D、角膜の厚さ520μmで、安全ライン(※)を考慮せずに手術出来るかどうかを考えてみます。

※安全ライン...切除後の残った角膜の厚さの理想は330μmですが、最低280μmあればレーシックの手術は可能とされています。

 まず520μmからフラップの厚さと切除した後の残りの角膜の厚さは、280μm以上あれば大丈夫ということになります。

 まず角膜切除量ですが、視力の度合い(D:ジオプター)の合計×14μmと計算します。
よって、
(-9D + -1D)×14μm=140μm  となります。
これを、元々の角膜の厚さ520μmから屈折矯正のために削ることになります。

 次にフラップの厚さはそれぞれ以下の通りです。

・イントラレーシックのフラップの厚さ:110μm
・エピレーシックのフラップの厚さ:50μm

 このフラップの数値も、元々の角膜の厚さ520μmからマイナスします。 つまり、残った角膜の厚さをもとめる式は次のようになります。

・イントラレーシック:
520μm - 110μm(フラップ) - 140μm(切除量) = 270μm ...残った角膜の厚さ
・エピレーシック:
520μm - 50μm(フラップ) - 140μm(切除量) = 330μm ...残った角膜の厚さ

以上を図で表すと以下のようになります。

 つまり、イントラレーシックでは残った角膜の厚さが最低数値280μmを割ってしまうために手術が不可能でしたが、エピレーシックならば手術が可能になります。

 しかも、それだけではありません。エピレーシックの場合、角膜残存厚が330μmになります。これは、前項で触れた安心ラインにも達します。

 更にポイントがあります。従来のレーシックはフラップを作成し、癒着してもこのフラップ自体は一生残るため、特に眼に激しい衝撃(格闘技など)は危険です。しかし、これから説明する術式は、フラップを薄く作成(もしくは作らない)ために、最終的にフラップがなくなるのです。そのため、フラップのずれという心配が無く、激しいスポーツも問題なくできます。それでは、エピレーシック、ラゼック、PRKに関して一つずつ簡単に説明していきます。

エピレーシック

エピケラトームを使いフラップを作成 STEP.1
エピケラトームを使い、イントラレーシックよりも更に薄く約50μmのフラップを作成します。
レーザーにより視力を矯正 STEP.2
レーザーを照射することで視力を回復します。

 エピレーシックのフラップは、時間の経過と共に剥がれ落ちて再生するため、通常のレーシックと異なり強い衝撃にも耐えることが可能にります。そのため、角膜が薄いけれどレーシックを受けたい方や、強度近視のため通常のレーシックでは角膜が足りない方、格闘技など激しいスポーツを行う方にお勧めです。

 しかし一方で、視力回復にやや時間が掛かることや、術後数日間痛みを伴い術後の管理がレーシックよりも不便などのデメリットも存在します。

ラゼック

角膜表面をアルコールをふやかしてフラップを作成 STEP.1
角膜表面をアルコールによってふやかし、角膜上皮にごく薄いフラップを作成します。
レーザーにより視力を矯正 STEP.2
医師がふやけた角膜上皮からフラップを持ち上げます。
ここで、医師には高い技術力が必要とされます。

 ラゼックも、フラップが最終的に消失するタイプで、術中のフラップも薄く作れます。そのため、角膜が薄いけどレーシックを受けたい方や、強度近視のため通常のレーシックでは角膜が足りない方、格闘技など激しいスポーツを行う方にお勧めです。ただし、アルコールを使用するため長期的なリスクについては不明な点が多いです。また、術後痛みを伴うことや、管理の不便さの点もエピレーシックと同様に考えられます。

PRK

 PRKとは、フラップを作成しない屈折矯正手術のことです。レーザーによって、本来フラップを作成する場所である角膜上皮層などを取り除きます。そして、表面に現れた角膜に対してレーザーを照射させることで視力を回復させるのです。角膜上皮層は時間と共に再生するため、フラップのずれという心配がないので、激しいスポーツにも安心です。しかし、痛みが激しい、視力が戻るのに数日から一週間かかる、安定するまで数ヶ月かかるなどのデメリットがあります。

まとめ

 これらのフラップを薄く作成する、もしくは作成しないタイプの術式は角膜表面照射と呼ばれる手法を取っています。これらは、術後にレーシックやイントラレーシックなどの他の術式よりもフラップを薄く作るため、角膜混濁などの合併症が発生しやすいので気をつけなければなりません。
 角膜混濁になると、視界に白いカーテンがかかったような状態になってしまいます。これは、簡単に説明すると紫外線がフラップと反応して角膜が混濁するのが理由です。従来よりもフラップを薄く作成するため、フラップが紫外線に反応しやすくなるのです。そのため、術後はUVカットのサングラスだけでなく、帽子などで紫外線対策をする必要があります。

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